行政書士の試験は受験資格がなく、士業として人気の高い資格ですが、毎年の合格率は一定ではなく、ばらつきがあるのが特徴です。
独学でも合格できる試験ですが、膨大な量の勉強と一般知識の出題があり、難易度の高い国家資格であることは明らかです。
この記事では、気になる行政書士の試験や合格率について、また今後の勉強法についてまとめています。
本記事の内容
行政書士の試験について
行政書士の合格率と難易度
行政書士の勉強について
目次
行政書士の仕事とは
行政書士とは、官公署(各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等)に提出する書類の作成や相談、提出などの行政手続を専門にするのが仕事です。
その書類のほとんどは許認可等に関するもので、その数は1万種類を超えるとも言われています。
司法書士は不動産登記や会社・法人の商業登記に関わる法務局に提出する書類の作成、裁判所に提出する書類の作成が専門業務になります。
行政書士の携わる業務の範囲は広く、多岐にわたります。
業務内容の具体例は、こちらの記事をご参考ください。
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行政書士の仕事とは?漠然とした業務内容の具体例
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行政書士の試験概要
行政書士の試験は毎年1回11月に試験が行われ、年齢、学歴、国籍などに関係なく、誰でも受験できる国家資格です。
行政書士の試験科目
行政書士の試験は、以下の科目から合計60問出題されます。
行政書士の業務に関し必要な法令等(46題)
- 憲法
- 民法
- 行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法)
- 商法・会社法
- 基礎法学
※4月1日現在施行されている法令に関して出題されます。
行政書士の業務に関連する一般知識等(14題)
- 政治・経済・社会
- 情報通信・個人情報保護
- 文章理解
出題形式
行政書士の試験は、筆記試験によって行われます。
出題形式は、行政書士の業務に関し必要な法令等は、択一式および記述式、行政書士の業務に関連する一般知識等は択一式の試験になります。
記述式は40字程度で回答する形式で出題されます。
2019年度の試験の出題状況と科目別の配点は、以下のようになっています。
出題形式 | 試験科目 | 問題数 | 配点 | |
法令等 | 5肢択一式 | 基礎法学 | 2問 | 8点 |
憲法 | 5問 | 20点 | ||
行政法 | 19問 | 76点 | ||
民法 | 9問 | 36点 | ||
商法・会社法 | 5問 | 20点 | ||
多肢選択式 | 憲法 | 1問 | 8点 | |
行政法 | 2問 | 16点 | ||
記述式 | 行政法 | 1問 | 20点 | |
民法 | 2問 | 40点 | ||
一般知識等 | 5肢択一式 | 政治・経済・社会 | 7問 | 28点 |
情報通信・個人情報保護 | 4問 | 16点 | ||
文章理解 | 3問 | 12点 | ||
合計 | 60問 | 300点 |
行政書士の合格基準点
行政書士の試験は、次の3つの要件を全て満たして合格となります。
行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、122点以上。
行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、24点以上。
行政書士試験全体の得点が、(300点満点中)180点以上
行政書士の合格率
行政書士の合格率は毎年一定ではなく、多少のばらつきがあります。
2010年以降から受験者数は下がっていますが、合格者数はそれと比例することなく、むしろ増加している年もあります。
近年の10年間に行われた試験の受験者数、合格者数、合格率は以下のように推移しています。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2019年 | 39,821 | 4,571 | 11.5 % |
2018年 | 39,105 | 4,968 | 12.7 % |
2017年 | 40,449 | 6,360 | 15.7 % |
2016年 | 41,053 | 4,084 | 9.95 % |
2015年 | 44,366 | 5,820 | 13.12 % |
2014年 | 48,869 | 4,043 | 8.27 % |
2013年 | 55,436 | 5,597 | 10.10 % |
2012年 | 59,948 | 5,508 | 9.19 % |
2011年 | 66,297 | 5,337 | 8.05 % |
2010年 | 70,586 | 4,662 | 6.60% |
行政書士の難易度
行政書士の試験は毎年合格率が一定ではなく、ばらつきがあることがわかります。
合格率が10%を切るときもあり、国家資格のなかでも難易度の高い試験ですが、特に一般知識は勉強の的が絞りづらく、苦手意識を持つ人も多くいます。
かと言って基準点をクリアしなければならず、勉強をおろそかにできません。
行政書士の勉強時間
行政書士の試験に合格するのに必要な勉強時間は、600~800時間とも言われます。
独学で合格することも可能ですが、予備校や通信講座を利用して勉強する人もいます。
これだけの勉強時間が必要になると、社会人が働きながら目指すには不利のように感じますが、決して不可能ではありません。
時間に制限のある社会人でも、毎日の勉強時間が確保できる環境にあって、勉強の継続ができれば合格できます。
行政書士の勉強方法
行政書士の試験は難易度が高く、覚えることも多いですが、独学でも合格は可能です。
また予備校の対策講座や通信講座もかなり充実しています。
勉強方法には独学、予備校に通学、通信講座の3つがありますが、生活環境や学習環境によるところもあり、人それぞれ様々です。
最近の通信講座はスマホやPC、タブレットで動画を視聴して勉強するWeb講座が中心になっています。
勉強をするにあたり、まずはそれぞれの勉強方法のメリットとデメリットを挙げてみます。
行政書士に独学で挑む
行政書士に独学で挑むには、しっかりと学習計画を立てて、コツコツ勉強を積み上げていく必要があります。
特に自主性が求められますので、毎日決めた時間勉強して、継続できるかがポイントです。
学費が安くてすむ | 自主性がかなり求められる |
自分のペースでできる | 挫折しやすい |
いつでも勉強できる | 効率の良い学習計画が委ねられる |
行政書士の独学におすすめの市販テキストや問題集は、こちらにまとめていますので、合わせてご参考ください。
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2021年行政書士の試験対策におすすめのテキストと過去問
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行政書士の予備校に通学
予備校に通学すれば同じ仲間ができて、試験に向けての臨場感もあり、モチベーションの維持に繋がります。
通学講座の1番のデメリットは学費の高さですが、それ以上に得られるメリットが大きいのが特徴です。
学費は高いですが、雇用保険を受給している方は、教育訓練給付金制度を活用して受講できる講座もあります。
モチベーションの維持ができる | 学費がかかる |
自主性を補える | 勉強の場所が限られる |
臨場感も味わえるの | 通学の時間がある |
仲間ができる | 時間の制限がある |
行政書士の通信講座(Web講座)を受講する
最近の通信講座はスマホやタブレット、PCで動画を視聴して勉強するWeb講座が中心になっています。
特に時間に制限のある社会人は、仕事の昼休みや通勤時間のスキマ時間で、毎日コツコツ積み上げるにはおすすめの勉強法です。
Web講座に特化した予備校や通信講座の受講料は、リーズナブルな価格になっています。
要点を絞った学習ができる | 学費がかかる |
どこでも勉強できる | 通信講座を選ぶのに悩む |
学費を払う事で勉強に強制力が働く | やはり自主性は求められる |
動画を見て気軽に勉強できる | 予備校と距離感がある |
行政書士の試験対策について、おすすめの通信講座と予備講座を受講料と合わせてこちらの記事にまとめています。
今後の学習にご参考ください。
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行政書士の試験対策!おすすめの通信講座と予備校講座7選
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難易度の高い行政書士の試験に受かるには!
ここまで行政書士の試験概要と勉強方法についてお送りしました。
難易度の高い行政書士の試験に合格するには、どの勉強方法を選んでも間違いはありませんが、長期間の勉強と集中力が必要になります。
そのため自分の適正と学習環境に向きあった勉強方法を確立しなければなりません。
行政書士の試験に合格できるかは、毎日の勉強の積み上げと継続できるかにかかっています。