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似て非なるものマンション管理士と管理業務主任者の比較

不動産資格のマンション管理士と管理業務主任者は、同じ試験科目から出題される国家資格です。

科目ごとの出題数にこそ違いがありますが、一見して一つの勉強をすれば二つの国家資格の取得を狙えるように思えます。

この記事では、似て非なる二つの不動産資格を掘り下げて、それぞれの仕事の内容や不動産業界での需要など比較してみたいと思います。

まずは双方の仕事から比較してみます。

 

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マンション管理士と管理業務主任者の仕事

マンション管理士の仕事は、マンション管理組合の運営や相談、マンションの修繕計画の立案などのコンサルタントが主な仕事です。

宅建士のような独占業務はありませんが、やり方次第では独立も目指せる独立系の不動産資格です

管理業務主任者には、マンション管理組合と管理業務の委託契約を結ぶときの重要事項の説明や書類への記名・押印、管理組合への定期報告といった独占業務があります。

また、マンション管理業者は事務所ごとに、管理事務の委託を受けた管理組合数30組合につき1人以上の割合で、成年者である専任の管理業務主任者の設置義務を負います。

管理業務主任者は、マンション管理業を営む不動産会社にとって必須であり、転職やスキルアップ向きの不動産資格です。

 

試験科目

マンション管理士と管理業務主任者は、両方とも受験資格がなく、誰でも受験できる国家資格です。

試験の出題科目は、民法・その他法令、標準管理規約、マンション管理適正化法、管理実務・会計、建築・設備となっています。

この2つの不動産資格は、同じ試験科目から出題されますが、それぞれの科目ごとの出題数に違いがあります。

 

科目ごとの出題状況

この両方の試験は、50問の多肢択一式問題が出題されます。

2019年度までの直近5年の合格点は、50点満点中、管理業務主任者は34~36点、マンション管理士35~38点となっています。

 

マンション管理士の出題状況

マンション管理士の試験の出題状況は、民法・その他法令から6問、区分所有法等から11~14問、標準管理規約から7~10問、マンション管理適正化法から5問、建築・設備から9~11問、設備系法令から4~6問、管理実務・会計から3~4問出題されます。

 

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管理業務主任者の出題内容

管理業務主任者の試験の出題状況は、民法・その他法令から9~12問、区分所有法等から5~8問、標準管理規約から5~10問、マンション管理適正化法から5問、建築・設備から6~10問、設備系法令から3~7問、管理実務・会計から7~10問出題されます。

ちなみに2019年度の本試験の出題状況は、以下のようになっています。

 
マンション管理士
管理業務主任者
民法・その他法令
6問
10問
区分所有法等
12問
6問
標準管理規約
8問
10問
マンション管理適正化法
5問
5問
建築・設備
11問
6問
設備系法令
4問
6問
管理実務・会計
4問
7問

 

マンション管理士と管理業務主任者の合格率の比較

マンション管理士と管理業務主任者の試験の出題科目は同じですが、合格率には大きな差があります。

2019年度までの直近5年間の双方の試験結果を比較してみます。

 
マンション管理士
管理業務主任者
年度
合格点
合格率
合格点
合格率
2015
38点
8.2%
34点
23.8%
2016
35点
8.0%
35点
22.5%
2017
36点
9.0%
36点
21.7%
2018
38点
7.9%
33点
21.7%
2019
37点
8.2%
34点
23.2%

このように管理業務主任者の合格率は20%台で推移していますので、国家資格の中では比較的難易度が易しい試験と言えます。

逆に合格率が10%を切るマンション管理士の試験は難しい試験だと伺えます。

 

マンション管理士と管理業務主任者の勉強法

市販のテキストや予備校・通信講座でもマンション管理士と管理業務主任者を同時に勉強し、ダブル取得を狙った講座があります。

これだけ試験科目が同じであれば、一つの勉強で両方の試験に合格できる可能性は十分にあります。

ダブル受験の合格を目指したおすすめの予備校の講座と通信講座は、下の記事にまとめています。

マンション管理士と管理業務主任者のダブル合格を目指したセット講座を開講している予備校と通信講座

続きを見る

しかしながら、試験の問題まで同じではありません。

それぞれの資格の仕事に特性があり、コンサル業務が仕事のマンション管理士の試験問題は、応用問題などの難しい問題の出題が増えます。

受験対策のアウトプットには、両方の過去問をしっかり解く必要があります。

ダブル受験対策のおすすめのテキストと問題集はこちらにまとめていますので、是非ご参考ください。

マンション管理士と管理業務主任者が同時に勉強できるおすすめのテキスト

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またこの二つの試験は試験日も近く、時期的にも好都合です。

 

一部免除制度

マンション管理士と管理業務主任者の資格を一つずつ確実に合格を目指すのなら、試験科目の一部免除の制度を有効に活用する方法があります。

この制度は、どちらかの試験に合格すると、もう一方を受験する時にマンション管理適正化法に関する5問が免除されます。

 

マンション管理士と管理業務主任者の総評

このようにマンション管理士と管理業務主任者の試験は、試験科目が同じであるにも関わらず、合格率に大きな違いがあります。

この2つの不動産資格の出題状況を比較すると、法令科目では民法と区分所有法の出題数が大きく異なります。

宅建士に合格して、次のステップアップに受験する人が多い試験ですが、馴染みのある民法からの出題があり、得点源になりやすいです。

区分所有法は宅建士より出題数が多くなり、条文が細かく理解するのに苦手意識を持つ人も多いですが、この法令科目の出題数の違いが合格率の差の一つの理由です。

もう一つの理由は、マンションの設備や構造からの出題です。

建築の勉強でもしない限り、初見で勉強する人がほとんどです。

若干勉強にとっつきにくいところがあり、この科目の出題数の差も合格率に影響しています。

またコンサル業務が仕事のマンション管理士の試験問題は、管理業務主任者の試験問題と比較すると難しくなります。

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